記憶を呼び覚ます催眠

記憶は、五感から入ってくるあらゆる情報を、脳の海馬という場所で処理しています。五感から入ってくる情報がどのくらいかは、判断出来ない程に膨大です。海馬は、このあらゆる情報を重要か重要でないかに分類し、重要な情報を記憶させる役目を担っています。そのため、常に酸素や栄養を必要とするため、日々バランスの良い栄養を摂取することが大切です。また、海馬はストレス耐性が非常に弱い場所でもありますから、健康的な精神状態と、健康的な体を作ることも大切です。

 

ここでは、特にストレスが海馬に及ぼす影響を取り上げ、それを改善させるための一つとして催眠療法が使われていることについて言及したいと思います。

 

 

記憶とストレス

 

脳にストレスがかかっている状態は、記憶をするために良い状態とは言えません。記憶をつかさどっている海馬はストレス耐性が低いためです。ストレスを受けている海馬は、五感から受け取るシグナル回路にダメージを受けてしまい、情報を受け取れなくなってしまいます。情報を受け取れなくなってしまった海馬は働きがどんどん衰えていき、細胞が死滅していくという事態に陥ります。細胞が死滅してしまうと、勿論記憶することは出来ない上、情報を判断する能力も失われていきます。使えなくなった海馬は萎縮し、通常の数分の一の大きさになってしまうこともあります。

 

さらに、強烈な精神的ストレスを受けると、海馬はその記憶を危険情報とみなし、完全に消去してしまう事があります。これは、大事故や戦争、DV、うつ病などによって引き起こされる現象であることが多いです。忘れている部分は、ほんの数分の記憶から、数年間という長い期間に渡ってすっぽり抜けてしまっていることもあります。酷い場合は、生まれてから現在までの記憶が完全に消えてしまうこともあります。このような時は、自分の名前は何なのか、どこで生まれ育ったのか、何をしている人間なのかすら忘れてしまっている状態です。うつ病にかかっている場合は、抗うつ病の薬を服用している事があり、この薬は記憶力を弱めてしまう働きを持っています。ですから、うつ病にかかっている人は一時的に記憶力が低い状態になることがありますが、うつ病から解放されるとまた記憶力が戻ったりすることもあります。

 

また、海馬にとっては充分な栄養が行き渡らないことがストレスになり得ます。海馬は常に活性化していなければ元気を保つことが出来ません。従って、常に水分を補給すること、つねに充分な栄養を送れるよう規則正しい食生活を送ることが大切です。ただ闇雲にエネルギーを摂取すれば良いという訳ではなく、タンパク質、ビタミン、炭水化物、ミネラル…などをバランス良く摂取することが必要です。

 

食事から摂取した栄養は、血液を通してあらゆる臓器へと送り届けられます。体全体の働きが鈍くなると脳にも負担がかかるため、体全体の健康を目的とした食事を行うことが大切です。よく、「朝食は必ず摂りましょう」と言われているのは、このような理由からです。朝何も食べずに学校や会社へ向かい、お昼まで何も食べずに作業をしても、脳に充分な栄養が行かないため、人よりも覚える時間がかかったり、仕事がはかどらなかったりという悪い影響が出てくるからです。また、朝起きてすぐの体は、水分と栄養が不足した状態ですので、起きたらまず水分補給をし、少しでも構わないので朝食を採ることをおすすめします。朝食に必要なカロリーを下回る朝食であっても、胃に何かしら物を入れることで胃が活発に働きます。